注射のステロイド剤とは
注射のステロイド剤は、ステロイドを飲んで効果が出るのを待っては間に合わないような緊急時など、直接ステロイドを体の中に入れたいときに使います。
注射方法の種類によって、効果があらわれるまでの時間や持続時間が違いますので、目的とする治療にあわせて使いわけをします。
喘息発作やアレルギーによるショックなどの緊急時だけでなく、花粉症、関節リウマチの痛みどめ、皮膚炎の局所などに使う方法もありますので、ご紹介しましょう。
目的により異なるステロイドの注射方法
静脈内注射
注射で薬を体の中に入れるときには、注射する方法によって、体の中に薬がいきわたる速度が異なります。
たとえば、静脈内注射は、直接、血管の中に薬を注入する方法のため、体中にすばやく薬がいきわたります。
強い喘息の発作があらわれたときや、アレルギーで血圧が低下し意識がなくなるショック時など、急いで対処が必要なときにステロイドが静脈内に注射されるといってよいでしょう。
また、薬を輸液に溶かして長い時間をかけて注入する点滴静脈内注射という方法では、体の中にゆっくり薬が入るよう調整したり、時間をかけて大量のステロイドを注入したりすることができます。
筋肉内注射
効果が長く続くステロイド剤が、筋肉内や関節腔内に注射されることもあります。
たとえば、筋肉内注射で1~2週間に1回使うデポ・メドロール水懸注(一般名:メチルプレドニゾロン酢酸エステル)というステロイド剤は、筋肉内に注射すると、効果はゆっくり12~24時間であらわれ、アレルギー性鼻炎では19日間、アレルギー性皮膚炎では12日間も作用が持続することが確認されています。
花粉症にステロイドの筋肉内注射をすることもあるようです。
関節腔内注射
また、リウマチの患者さんの関節腔内にデポ・メドロール水懸注を注射すると、注射してから6時間後に痛みどめの効果があらわれ、その効果は14日間続くことがわかりました。
そのため、関節リウマチには2週間以上の間隔をあけて使われています。
皮膚注射
ステロイドを皮膚に塗って十分効果があらわれない場合に、皮内注射で用いることもあります。
たとえば、ケナコルト-A水懸注(一般名:トリアムシノロンアセトニド)は、アトピー性皮膚炎などの皮膚炎の局所に使う場合は、週1回皮内に使うこととされています。
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注射のステロイド剤の副作用や注意事項
ステロイドを注射で使う場合にもステロイドを飲むときと同じように、感染症を起こしやすくなったり、糖尿病や消化性潰瘍などの副作用がおこったりすることがあります。
そのほか、
- 静脈内に注射すると血管痛や静脈の炎症があらわれることがあるので、1~数分かけて注射します。
- 筋肉内に注射するときは、注射針をさしたときに激痛や血液の逆流がないか確認しながら神経や血管をさけます。
- 保存に関連して、ステロイドを懸濁した注射液では、10℃以下で注射液の中の粒子が集まり、関節腔内に投与したときに痛みやはれをおこすことがあるため、医療機関では取り扱いに注意がなされています。
これらは、注射する場合に特徴的な注意事項です。
注射のステロイド剤を使う際には、飲み薬や塗り薬よりも、さらに注意が必要といえるでしょう。
注)
懸濁:粒子が液体中で浮いてただよっている状態。