合成副腎皮質ステロイド(ステロイド)であるプレドニゾロンは、その作用メカニズムにより、ムーンフェイス(満月様顔貌)や副腎皮質萎縮、感染症誘発など特徴的な副作用を起こすことが知られています。使用中はそれらをふまえて注意をすることが必要です。

 

プレドニゾロンの副作用

ムーンフェイス(満月様顔貌)

プレドニゾロンは脂質の代謝に影響を与えるため、顔に脂肪が沈着して満月のように丸くなるムーンフェイス(満月様顔貌)という副作用が知られています。プレドニゾロンを使う量が少なくなれば必ずよくなる副作用ですが、使用している間は肥満にもなりやすいので、食事に気をつけることがすすめられます。

副腎皮質萎縮

長い期間、合成副腎皮質ステロイドであるプレドニゾロンを使い続けることで、副腎皮質が萎縮し、本来分泌されるべき副腎皮質ホルモンが少なくなってきます。副腎皮質ホルモンの分泌が少なくなることが問題となるのは、プレドニゾロンを使うのをやめるときです。





感染症誘発

プレドニゾロンは免疫を抑える作用があるため、感染症を引き起こしやすい薬です。感染症が現れた場合は、プレドニゾロンを減らすか、抗菌薬などで対応することになります。

消化性潰瘍

プレドニゾロンを飲むと、胃酸の分泌が増えるため、消化性潰瘍を引き起こすことがあります。胃の痛み、吐き気や嘔吐が現れ、血が混ざった便で気づくこともあります。その場合には、プレドニゾロンを減らすか、胃粘膜を保護する薬や胃酸の分泌を抑える薬を併用することになります。

体のむくみ、高血圧

プレドニゾロンは副腎皮質ホルモンのヒドロコルチゾンより、炎症を抑える糖質コルチコイド作用が強く、鉱質コルチコイド作用は弱くなっていますが、弱いとはいっても大量に使うと鉱質コルチコイド作用が現れてきます。鉱質コルチコイド作用は血中のナトリウムの量を増やすことで、体のむくみや高血圧を引き起こします。

糖尿病

プレドニゾロンを使うと、体の中での糖の利用が抑えられ、アミノ酸から糖ができるのが促進されるため、糖尿病を引き起こすことがあります。からだがだるくなる、のどが渇いて水を多く飲む、尿の量が増える、体重が減るなどの症状が出ると知られています。

緑内障

眼科用に4~6週間続けて使うと、眼圧が上昇するため、眼の痛みや頭痛、視力の低下、吐き気などの緑内障の症状が現れてきます。2週間以上の長期にわたってプレドニゾロンの点眼剤を使用することはすすめられません。

 

プレドニゾロンを使用中の注意事項

やめるとき

プレドニゾロンは、長く使った後に急に使用をやめると、発熱、頭痛、食欲不振、脱力感、筋肉痛、関節痛、ショックなどが現れることがあるため、自己判断で急に使用をやめてはいけない薬です。やめるときは医師の指示に従い徐々に量を減らしていくことが必要です。

感染症

プレドニゾロンは免疫を抑えるため、水痘(みずぼうそう)や麻疹(はしか)にかかると致命的になることがあります。使用前には、かかったことがあるか、予防接種を受けているかなどが確認されますが、感染には気をつけましょう。また、プレドニゾロンを長期あるいは大量に使用すると、使用中だけでなく使用後も免疫が抑えられた状態になります。使用中止後6ヶ月以内は、感染の危険性があるので、生ワクチンの接種は受けないようにします。

妊娠中・授乳中

妊娠している場合や妊娠の可能性のある場合は医師に相談することが必要です。授乳は避けるようにしましょう。