ステロイドホルモンとは
体の中で働くホルモンのうち、ステロイド骨格(炭素6つが輪になったものが3つつながり、それに炭素5つが輪になったものがついている)をもつホルモンはステロイドホルモンとよばれます。
その中のヒドロコルチゾンに似せてステロイドはつくられてきました。
そのため、ステロイドの作用はヒドロコルチゾンに似ています。
また期待する作用以外の副作用も、ヒドロコルチゾンにみられるものがあらわれます。
ここでは、ステロイドホルモンの作用と関連させて、ステロイドの作用と副作用について、ご紹介しましょう。
ステロイドホルモンの働き
体の中にあるステロイドホルモンには、さまざまな種類があります。
副腎皮質では、
- 炎症をおさえる糖質コルチコイドであるヒドロコルチゾン
- ナトリウムを体の中にとどめる鉱質コルチコイド作用をもつアルドステロン
- 男性ホルモンであるテストステロン
などがつくられています。
これらは、細胞の中に入ると、いったん細胞質にある受容体(細胞質受容体)に結合した後、結合したまま細胞の核に入っていくタイプのステロイドホルモンです。
また、女性の性周期と関連する
- 卵胞ホルモンであるエストラジオール
- 黄体ホルモンであるプロゲステロン
これらは、細胞の中に入ると、さらに核の中にまで移動して核にある受容体(核受容体)と結合するタイプのステロイドホルモンです。
一般的にステロイドホルモン剤というと、ヒドロコルチゾンといった糖質コルチコイドをさすことが多いでしょう。
ステロイドはヒドロコルチゾンに似せてつくられたものですから、細胞質受容体に結合してから核の中に入って、炎症をおこすさまざまな物質ができるのを抑制します。
この作用により、ステロイドの炎症をおさえる作用があらわれるのです。
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ステロイドの作用と副作用
薬としてのステロイドの作用や副作用は多彩ですが、糖質コルチコイドの作用と関連づける覚え方をすると、整理できます。
まず糖質コルチコイドには、
- 炎症をおさえたり
- 免疫をおさえたりする働きがあり
薬であるステロイドにもこの作用があります。
また、糖質コルチコイドには、
- 糖ができるのを促進したり
- たんぱく質や脂肪を分解したりすることも知られています。
- 胃酸の分泌を増やす作用もあります。
- 弱い鉱質コルチコイド作用もありますので、ナトリウムを体の中にとどめる作用もあります。
ステロイドを使うときには、短期では炎症を抑え、長期では免疫をおさえる作用を利用しますが、ある程度長く使うと、免疫をおさえる作用が出てきて感染症を起こしやすくなるといった副作用になります。
そのほかの糖質コルチコイドの作用もステロイドの副作用に関係するといってよいでしょう。
たとえば、
- 糖ができるのを促進しますので、血液の中の糖の量が増え、糖尿病が悪化します。
- たんぱく質や脂肪を分解しますので、筋肉が少なくなったり手足の筋肉の脂肪が減ったりします。
- 胃酸の分泌を増やしますので、消化性潰瘍がおこる可能性が出てきます。
- ナトリウムが体の中にとどまることから、むくみが出るようになるといってよいでしょう。
このように、ステロイドの副作用は、糖質コルチコイドの作用と関連するものなので、ステロイドを使うと出てきてしまうものなのです。
でも実際に薬を使う際には、医師が使い方を調節したり、副作用に効く薬をあらかじめ使ったりします。
副作用かと思っても自分でステロイドをやめてしまうのではなく、医師に相談することが大切です。