エキザルベ軟膏は、ステロイド系抗炎症薬のひとつ。皮膚や小児科で処方される皮膚疾患治療剤として60年以上の長い歴史を持っています。
- 皮膚の湿疹や皮膚炎に効能・効果があります。アトピー性皮膚炎、やけど(火傷)、ただれ(糜爛)の治療にも使われています。小さいお子さんのおむつかぶれ(接触性皮膚炎)、寝たきりのご老人の床ずれ(褥瘡)のケアにも活躍しています。
- ステロイドと混合死菌浮遊液が主成分なので、大腸菌やブドウ球菌、緑濃菌、レンサ球菌を死滅させる効能も持っています
- ステロイド系抗炎症薬の区分の中では、もっとも薬効の弱いⅤ型に分類されています。わずかにフェノール臭がする程度で肌への刺激性はなく、継続使用しても副作用がほとんど出ないので、幼児や小児、老人にも処方されることの多いお薬です。
副作用は、わずか1.43%
エキザルベ軟膏を製造・販売しているマルホ株式会社が2010年に公開した資料によると、909件の投与症例のうち、副作用が認められたのは、わずか13例(1.43%)でした。
1.43%の内訳は次のようなものです。
- 刺激症状(痒みを感じる):5人(0.55%)
- 発赤(赤みが出る):3人(0.33%)
- 発疹(ぶつぶつ、ザラザラが出る):2人(0.22%)
- 湿潤(ムレたような感じになる):2人(0.22%)
- 灼熱感(ほてったような感じになる):1人(0.11%)
いずれも副作用としては軽いもので、局所的な副作用であり、深刻な事例につながるものではありませんでした。
知っておきたい!ステロイド系抗炎症薬の副作用について
ステロイド系抗炎症薬はその薬効(薬の強さ)によってⅠ群からⅤ群まで、5段階にランク分けされています。もっとも薬効の高いⅠ群(Strongest)では、大量投与を長期間続けると副作用が出ることが報告されています。例えば、Ⅰ群のステロイド外用薬(デルモベートなど)を1日に20g使い続けると、発毛の促進、ニキビの増加、血管の拡張などのほか、皮膚が薄くなるといった現象がみられることがあります。
ただし、国内で使われているステロイド外用薬は5g入りの小さなチューブ入りしかありません。これを1日に4本使うことは現実的にはありえないと言えるでしょう。
一方、アメリカやヨーロッパでは50g入りの大きなチューブがほとんどです。日本ではステロイド外用薬の副作用について大きく誤解されていた時代がありました。今はステロイドの有効性が十分に証明され、治療に必要な量は十分に使って効果を引き出し、治療をスピーディに進めるという考えが浸透してきています。