痔の治療薬ボラギノールには、ステロイド配合の外用薬ボラギノールA、ステロイド非配合の外用薬ボラギノールM、そして内服薬のボラギノールEPの3種類があります。さらに、外用薬には、それぞれ坐薬、軟膏、注入軟膏(ボラギノールAのみ)の製品ラインナップがあり、症状によって使い分けることが可能です。上手な使い分けや、それぞれの薬剤の使用方法などをご紹介します。

坐剤タイプ(ボラギノールA、ボラギノールM)

坐剤は、肛門内に挿入して使用するタイプの薬剤です。
ボラギノールA、ボラギノールMの坐剤は、肛門内部に薬剤を届けるため、内痔核が発生しているいぼ痔に適しています。挿入後は自然に直腸の膨大部に届けられ、体温によって溶けたのち、その下部にある痔の患部をめざしてすみやかに薬剤が拡がるしくみです。

体温によってすばやく溶ける油脂性基剤を使用しているため、その基剤が腸管や肛門内部のコーティング剤となり、便通の際の潤滑油になる役割ももっています。便通によって痔の傷や腫れが悪化しないよう、スムーズな排便のサポートをしてくれるのです。1回の使用量は1個、1日の使用回数は1~2回となっています。保管には少々注意が必要で、1℃~30℃の環境下、丸みを帯びた先端を下向きに立てるようにして保管します。なお、冷凍庫では保管できません。










軟膏タイプ(ボラギノールA、ボラギノールM)

チューブタイプ
軟膏は、白色ワセリンなどの油脂を基剤として薬剤が配合されている外用薬です。
ボラギノールA、ボラギノールMの軟膏は、外痔核が発生しているいぼ痔、切れ痔(裂肛)など、肛門の外側および肛門付近の痛みやかゆみに適しています。配合成分が痔の症状を緩和するだけでなく、油脂性基剤が患部をやさしく保護します。適量を1日1~3回程度使用。軟膏を使用する際は、よく手を洗ってから指先に適量を取り、直接患部に塗布するか、または、薬剤をガーゼに伸ばし患部に貼付します。

注入軟膏タイプ(ボラギノールA)

注入軟膏は、肛門内への注入と肛門付近への塗布、どちらにも使用できるようになった外用薬です。
ボラギノールAのみ注入軟膏タイプが製造されています。

肛門内部の内痔核、肛門付近の外痔核・裂肛いずれにも使用できるのがメリットです。注入の場合は、キャップをはずし、ノズルの根元まで肛門に挿入。容器をゆっくり押すようにして薬剤を全量注入します。挿入時に患部を傷つけないよう、ノズルに丸みをもたせているほか、歯状線より奥の内痔核部分までスムーズにノズルが届く容器設計になっています。1日の使用回数は1~2回。1回使い切りタイプのため、薬剤や患部に触れることなく衛生的に使用できるのが特徴です。塗布する場合は、適量を指先にとり患部に直接塗布します。

なお、1度塗布に使用した薬剤は、注入には使用できません。薬剤の量が減っているため十分な効果が得られなくなるためです。注入軟膏は、坐剤と違って温度管理が必要ありません。また、便利な個包装になっているため、外出先に携帯したい人にとっても使いやすい親切設計になっています。
 

内服タイプ(ボラギノールEP)

内服薬は、飲んで体の内側から改善してゆくための薬剤です。ボラギノールEPは、3つの生薬を配合した痔のための内服薬。生薬はじっくりと体に働きかけていくため、即効性は感じにくいものですが、飲みやすい顆粒状であること、飲むだけという気軽さがあり、外出先でも服用しやすいメリットがあります。1回に1包、1日に2回服用で症状の緩和をめざします。

ボラギノールの効果・副作用